外国人が日本で働くためには「就労ビザ」が必要です。就労ビザには様々な種類がありますので、ご自身の仕事のカテゴリーに合うビザを選ぶ必要があります。
ITエンジニアとして働くなら「技術」
在留資格「技術」は、日本の会社と契約して、情報学や統計学などの自然学の知識を必要とする業務に従事する外国人に与えられるものです。理系の知識を必要とする仕事で、単純労働系の仕事は該当しません。
「技術」を申請する本人の基本条件
- 業務に必要な技術と知識があること
- 技術と知識に関する科目を専攻して大学を卒業している
- 大学卒業と同等の教育を受けている
- 技術と知識に関する科目を専攻して日本の専修学校を修了している
- 10年以上の実務経験がある
- 日本人と同等額以上の報酬を受けること
企業がエンジニアを海外から雇用する場合
日本のIT企業は、国内外を問わず優秀なエンジニアを募集することがあります。応募して採用となったら、在留資格認定証明書交付申請手続きをします。この手続きは、就職先の企業側も書類の準備が必要です。申請者本人と、就職先の企業の両方の書類が必要です。
語学講師として働くなら「人文知識・国際業務」
在留資格「人文知識・国際業務」は、日本の会社と契約して、語学や文学など人文科学の知識を必要とする業務に従事する外国人に与えられるものです。文系の知識を必要とする仕事で、単純労働系の仕事は該当しません。
「人文知識・国際業務」を申請する本人の基本条件(全部は満たさなくても可)
- 業務に必要な技術と知識があること
- 技術と知識に関する科目を専攻して大学を卒業している
- 大学卒業と同等の教育を受けている
- 技術と知識に関する科目を専攻して日本の専修学校を修了している
- 10年以上の実務経験がある
- 日本人と同等額以上の報酬を受けること
外国文化を深く理解していることが重要になる仕事をしたいとき
「人文知識・国際業務」に申請する本人が、外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
- これらの業務をする仕事に就く
翻訳・通訳・語学の指導・広報・宣伝・海外取引業務・服飾・室内服飾デザイン・商品開発
- 3年以上の実務経験がある
大学を卒業したひとが翻訳・通訳・語学の指導に関する業務に就くときは経験不問
企業が語学講師を海外から雇用する場合
日本の企業が海外から語学講師を募集することがあります。応募して採用となったら、在留資格認定証明書交付申請手続きをします。この手続きは、就職先の企業側も書類の準備が必要です。申請者本人と、就職先の企業の両方の書類が必要です。
シェフとして働くなら「技能」
在留資格「技能」は、日本の会社と契約して、産業のなかの特殊な分野で熟練した技能を必要とする業務に従事する外国人に与えられるものです。この在留資格は、職種が限定されていて、具体例以外の職種では「技能」の在留資格を取得することはできません。
「技能」を申請する本人の基本条件
- 業務に必要な熟練した技能があること
- 限定列挙されている以下の職種であること
- 調理師(コック・シェフ)、建築技術者、外国製品の製造・修理、宝石・貴金属・毛皮加工、動物の調教、石油・地熱等掘削調査、航空操縦士、スポーツ指導者、ソムリエ
- 日本人と同等額以上の報酬を受けること
調理師(コック・シェフ)として仕事をしたいとき
- 在留資格「技能」の調理師は「西洋料理人、中華料理人、製菓技術者」です。
料理の調理・食品の製造にかかわる技能で、外国において考案され、日本において特殊なものを要する業務に従事する者(基本的に母国の料理の特性を活かす必要あり)
在留資格「技能」に申請する本人が、熟練した技能を持つ調理師として業務に従事しようとする場合は、次のいずかに該当していること。
- 上記の基本条件に加え、10年以上の実務経験があること
- タイ王国との間の協定付属書七第一部A第五節1(c)の適用を受ける者
企業が語学講師を海外から雇用する場合
日本でレストランを経営している企業が海外から調理師を募集することがあります。応募して採用となったら、在留資格認定証明書交付申請手続きをします。この手続きは、就職先の企業側も書類の準備が必要です。申請者本人と、就職先の企業の両方の書類が必要です。
日本で就職することを目指して日本の大学に「留学」
高いレベルの教育を求めて日本の大学に入学したい外国人は多くいます。日本は教育環境が整っているし、専門的な知識を良い環境で学べるからです。大学在学中に必要な知識を身に着けて資格を取得することもできます。大学を卒業した経歴や資格の取得は、自身のキャリアアップに繋がります。また、日本の大学に留学生として入学すれば、学びながら日本の価値観・日本のマナーに関する触れる機会が多く持てます。大学卒業後に日本の企業に勤めたり、海外展開している日本の企業の外国の営業所に就職出来たり、国際的な活躍につながる可能性があります。
日本の大学の留学生になるなら「留学」
在留資格「留学」は、日本の教育機関(小学校・中学校・高学校・大学・専門学校)で教育を受ける活動です。教育機関が実施する入学試験に合格して、入学許可が必要です。
日本語能力試験は「N2以上」が必要
入学試験の設問は日本語です。また、授業も日本語で行われるので、日本語の能力は必須です。大学・短期大学・高等専門学校では、日本語能力試験N2以上が求められます。この日本語能力のレベルは学校によって異なることもあるので、志望校の要項で確認したほうがよいでしょう。
外国人留学生が企業の新卒採用に申し込む
外国人留学生を新卒採用する企業が増えてきています。採用情報はいろいろあります。
ホームページに採用情報を掲載する企業は多くあります。日本企業へ就職したいと考えている海外の学生も情報収集のためにチェックしているようです。
外国人向けの就職情報サイトでは、企業と就職を希望する外国人留学生とのマッチングが期待できます。
人材紹介サービスも多数あります。外国人留学生が相談できるサービスもあるようです。
企業が行う会社説明会、合同会社説明会が多く行われています。企業の採用担当者と外国人留学生が直接話をできる機会として活用されているようです。
日本の大学には「キャリアセンター」という、学生の就職支援をするサービスがあります。
求人、求職情報の提供、雇用管理に関する相談、インターンシップ支援などを行っている機関です。東京・名古屋・大阪・福岡に設置されています。(ハローワークではありません)
日本の企業に勤めることが決まったら
在留資格「留学」で日本に滞在している外国人留学生が日本企業に就職することが決まったら、ビザを就労ビザへ変更します。変更する在留資格の種類は業務内容によります。就職する企業の人事担当の方に相談するとよいでしょう。日本の大学・専門学校から日本の企業に就職する外国人留学生は「技術」「人文知識・国際業務」の在留資格を申請することが多いようです。
在留資格「留学」から変更するタイミング
外国人留学生が在留資格を「留学」から就労できる在留資格に変更するタイミングは、雇用契約をした後がよいでしょう。就労ビザの申請は、卒業前年の12月1日から行えます。これは、学位取得の見込みがたつ頃合いです。
家族を日本に呼び寄せたい「家族滞在」
外国人が日本で働く場合、家族も一緒に日本に呼びたい場合があります。家族の帯同が認められている在留資格があり、本人の在留資格申請の時に在留資格「家族滞在」の資格申請をすることができます。本人の在留資格が下りない場合は「家族滞在」も不許可になります。
家族滞在が認められている在留資格
「家族滞在」の家族はどこまで?
在留資格「家族滞在」で呼べる「家族」とは、配偶者と子(第一親等)までです。親や兄弟が母国で扶養を受けていたとしても、家族滞在の在留許可は下りません。
家族滞在で在留している配偶者は日本で働ける?
在留資格「家族滞在」は、日本で働く外国人の扶養を受ける者なので、基本的には働くことはできません。就労を目的に日本に来るという場合は、就労ビザを申請する必要があります。配偶者が他の在留資格に該当するときは「家族滞在」にこだわらずに他の就労ビザの申請をする場合もあります。ただ、「家族滞在」でも、資格外活動許可を得て、週28時間以内の就労につくことができます。
「家族滞在」の基本条件
- 申請人がしかるべき在留資格をもって在留する者の扶養を受けて在留をすること
- 扶養者に扶養の意思があること
- 扶養者が扶養する能力があると認められていること
- 申請人(配偶者)が扶養者の扶養を受けていると認められること
- 申請人(子)が監督保護・教育を受けていると認められること
日本国籍を取得するなら「帰化申請」
帰化とは、外国人が日本国籍の取得を希望する意思表示に対して、国が許可することにより日本国籍を与える制度のことです。日本では、帰化の許可は法務大臣の権限となっています。
日本に長く住んでいると、日本での生活も安定してきます。日本での永住を考えるようになると、「永住許可申請」と「帰化申請」のどちらにすればよいのか、悩む外国人の方が多いようです。
帰化するということ
帰化は、外国の国籍を喪失して日本国籍を取得して「日本人となる」ということです。母国の国籍を喪失するので、国に帰るときはビザ取得が必要になります。帰化後に「やはり母国の国籍に戻りたい」と思っても、申請や審査をしなければならず、母国に国籍回復制度がない場合は戻れない場合もあります。帰化は子どもの国籍にも影響がある可能性があるので、慎重に行うべき申請です。
「帰化」を申請する本人の条件
- 5年以上日本に住所があること
- 日本人の配偶者が帰化申請をする場合は、緩和規定があります
- 20歳以上で、本国法(母国の法律)によって能力があること(行動能力の制限がないこと)
- 素行が善良であること
- 自己または生計をひとつにする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること
- 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと
- 日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張したことがないこと
外国籍のまま無期限で日本に滞在するなら「永住者」
在留資格「永住者」は、在留活動・就労・在留期間の制限がありません。このため、通常の在留資格の変更よりも慎重に審査されます。家族滞在ビザの家族全員も一緒に、家族全員で申請することがおすすめです。
「永住者」は在留期間が無制限
在留資格「永住者」は、永住権ともいわれ、在留活動・就労・在留期間の制限がありません。在留カードの更新手続きは必要ですが、在留資格の更新手続きの必要がなく、他の在留資格と比べて厳しい管理が緩和されています。ただし、在留期間「永住者」の申請は審査がとても厳しく、申請した方のうち約半分しか許可が下りません。また、「永住者」の変更申請中に在留期間の期限が迫っていても、通常の申請のように特例期間がありません。同時並行で在留期間の更新をする必要があるので注意が必要です。「永住者」の審査中に在留期間が切れてしまわないようにしなければなりません。
7年ごとに在留カードの更新が必要
在留資格の更新手続きはありませんが、在留カードの更新手続きが必要です。在留カードの更新は7年ごととされていて、有効期限の2か月前から更新手続きを行うことができます。この更新は運転免許証の更新のようなもので、在留資格の再審査をすることはありません。
「永住者」を申請する本人の条件
- 素行が善良であること
- 次のいずれにも該当しないこと
- 日本の法令に違反して、懲役・禁錮・罰金に処せられたことがある者
(罰金には道路交通法違反による罰金は含まれません) - 少年法による保護処分が継続中の者
- 日常生活または社会生活において、違法行為または風紀を乱す行動を繰り返し行うなど、素行善良と認められない特段の事情がある者
(例えば、道路交通法違反など軽微な法違反でも、これを繰り返し行う者など)
- 日本の法令に違反して、懲役・禁錮・罰金に処せられたことがある者
- 次のいずれにも該当しないこと
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
- 日常生活において生活保護などの公共の負担となっておらず、かつ、その有する資産または技能などから将来において安定した生活が見込まれること。必ずしも申請する本人に備わっている必要はなく、配偶者等とともに構成する世帯単位で安定した生活を今後も続けていけることが認められるときも含まれる。
- 永住が日本国の利益に合すること
- 引き続き10年以上、日本に在留していること
- 「留学」「研修」「技能実習」の在留資格から就労資格または居住資格への在留資格変更許可を受けて在留する者については、10年のうち就労資格または居住資格で5年以上していること(10年以上の滞在歴があっても、留学期間が長く、就労資格または居住資格の期間が5年未満である場合は、要件に当てはまらないということです)
- 現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること
(例えば、在留資格「人文知識・国際業務」の最短の在留期間1年では当てはまらない)
- 引き続き10年以上、日本に在留していること
働き方に制限のない「配偶者ビザ」は取得が大変
配偶者ビザには日本人と外国人が結婚した場合、配偶者・子どもに与えられる「日本人の配偶者等」と永住者・特別永住者の配偶者と日本で出生し引き続き在留している子どもに与えられる「永住者の配偶者等」があります。いわゆる「結婚ビザ」と言われているものです。在留資格「家族滞在」との違いは大きく、配偶者ビザは就労制限がありません。その分、申請して取得するための審査が厳しく「偽りのない婚姻であること」を証明することが重要です。書類に不備や説明不足があると不許可になってしまいます。審査に面接はないため、直接仲の良さをアピールすることはできません。書類審査のみで審査が行われるので、偽装結婚と疑われないように不備・不足のない書類を準備しなければなりません。
配偶者ビザは就労制限がない
配偶者ビザは、就労に関する制限が一切ありません。学歴・実務経験・実績がなくても、職種・契約形態・就労時間すべて自由です。正社員で働くこともパートタイムで働くことも可能です。転職も、もちろんできます。また、会社を経営することもできます。
配偶者ビザは働いていなくても日本に在留できる
配偶者ビザを持っていれば、結婚生活を真面目に営んでいる限り、会社を退職してしまっても日本に滞在することができます。就労ビザの場合は無色の期間が続くとビザ取消の対象となってしまいますので、配偶者ビザが優遇されている在留資格であることがわかります。
結婚の手続きと配偶者ビザ申請の手続き
結婚の手続きは、日本人と外国人の場合・母国が同じ外国人同氏の場合・国籍が違う外国人同士の場合があり、相手国の法律や宗教によっても手順が異なります。また、配偶者ビザの手続きは、海外から呼び寄せるケースと、いまある在留資格を変更するケースで、書類や手続きが異なります。日本での生活をスムーズにはじめるためには、結婚の手続きを配偶者ビザの取得をみすえて進めるべきで、書類の種類や記載内容も不備・不足のないようにする必要があります。配偶者ビザの審査はとても厳しいものですので、専門家に頼って準備を進める方が多いです。
「短期滞在」で来日して就労ビザに切り替えるには
短期滞在ビザは「観光ビザ」とも呼ばれていて、取得目的によって必要書類が異なります。取得目的は大きく3つに分かれていて、(1)観光(2)日本に住む親族や知人を訪問(3)短期商用目的で、滞在期間は15日・30日・90日のいずれかになっています。原則、1年間に180日を超えて滞在することはできません。
短期滞在ビザは、海外現地の日本領事館で申請しますので、現地の領事館の裁量にゆだねられており、政情や日本国との関係も大きく影響します。短期滞在で入国した外国人が不法滞在で留まることが多かったりすると、その国の短期滞在ビザの発給が厳しくなったりすることがあります。
「短期滞在」では就労することができない
原則として、短期滞在ビザでは就労することができません。つまり、報酬を受け取ることができません。あらかじめ申請した目的と期間で日本に滞在するものなので、短期滞在ビザの在留期間を更新することはできません。ただし、日本滞在中に出産や病気などのやむを得ない事情があったとき、入国管理局に申請することで更新が認められる場合があります。また、コロナ禍で本国や居住地に帰国することができない外国人が日本での生計維持が困難である場合に、資格外活動(週28時間以内のアルバイト)が許可されることになっています。就労目的で短期滞在ビザを利用することはできませんが、帰国できないトラブルや事情があった場合は、特別に許可がでる場合があります。
短期滞在ビザでも採用面接を受けることはできる
短期滞在ビザでは就労することはできませんが、企業などで採用面接を受けることは可能です。採用となった場合、原則的には一度帰国して就労ビザを取得して再度来日する流れになりますが、短期滞在ビザから就労ビザに切り替えることも不可能ではありません。不可能ではありませんが、イレギュラーな方法にはなります。
在留資格認定証明書交付申請・在留資格認定証明書(COE)取得し、在留資格変更許可申請・許可が下りれば一時帰国せずに就労開始できます。申請・審査に1ヶ月ほど要しますので、在留期間90日間以内ですべて行うには迅速な対応が必要です。採用通知が出たらすぐに動けるようにあらかじめ用意できる書類は準備しておき、できれば専門家を頼ってできるだけ万全な状態にしておくことが必要です。不許可になってしまった場合は一時帰国して、改めて就労ビザを取得してから来日する必要があります。